オーストリア ハイキング旅行 5日目

日曜の朝は少し寝坊助の僕。ユリ君は普段通りとは言わないけれども7時には起きて、自分の仕事やらコンピューターゲームをしていたみたいで。リビングへと起きだしの顔でやってきた僕に、「ランニングに行かない?」と誘ってくる。薄く青い空には白色を多くまとった太陽太陽が輝いていて気温も走るのに最適。二人で田舎道を深呼吸しながら、その後朝食。いつもは紅茶ばっかりの僕の朝の飲み物。今日はカフェオレに。3週間の休暇の間にフランスにいたせいもあってか、コーヒーが飲みたいなって。だけど、しゃっきりと目覚めるコーヒーというよりかは日曜の穏やかな朝に添い遂げるようなコーヒーが飲みたかったのでミルクを温めて、コーヒーと半々にしたカフェオレに。あっとう的なミルクのなかにいるコーヒーの存在が心地よくて。やっぱり秋は素晴らしいと思いながら過ごす日曜日の午前中。

あのハイキングの日々だった休暇とはえらい違い。本当にあの日々は鍛錬遠足、体育会系合宿そのもの。

そして迎えたオーストリア5日目は、最長のハイキングへと。

このことについては事前にユリ君からの説明が。これがオーストリアでは最後のハイキングになること、結構長めであること、最初の登りはきついけれでも、帰りはそこまでな急なくだりではない。ただ、一か所だけ中難易度の赤の下りがあること。だけどそこまで長くないので問題はないかもしれないという説明。

距離にして22km、ハイキング地図が教えてくれるには9時間ほどのハイキング。最高地点の標高は2235mで、ということは1265m上がって、下がる。もちろんこの上下、1回だけでなく他の低い山に登り少しおり、隣の山へといった感じで進んでいくコース。

約束通りに序盤からかなりの急斜面。ただ周りに木が生えているので高さを感じることはないので怖くないんですよね。高所恐怖症のみなさんどうです?周りに視界を遮るものがあったら、あんまり怖くないですよね?その後もどんどん進んでいくとどうやら冬はスキー場になるらしくてスキーリフトを横目に見ながら登ることに。ハイキングをしていてちょっと嫌だなって思う時ってこんな時や突然に車の走れる道に出てきたとき。”いやいや。あんなに心臓が飛び出るくらいに心拍数あげて登ってきたのに、ある人は車/リフトで登ってこれるのかー。今までの苦労は何なんだー!!’って叫びたくなる感じ。理解していただけます?

標高が上がると木々がね,なくなってくるの。もちろん素敵な景色が見えていいんですよ。しかもここは中難度の赤コースだから少しは怖いのも覚悟。そして木々にとってかわった植物が自生のブルーベリー。本当に低木なんですよね。そこに小さなブルーベリーの実が。これがね太陽の光を浴びて甘いこと。途中で疲れた体を癒す素敵な食べ物。ユリ君が急斜面でも採ってくれます。やさしい子。

この赤黄色みたいなものが全部ブルーベリー。この時までは僕元気だったんです。ブルーベリーの恵みもいただいて。このあとね、過酷な道が目の前に。

その前に高所恐怖症の人についての確認事項。これはどうなのかな、みんなに当てはまるのかな?僕は高所における風がものすごく苦手。もちろん飛んでいかないのはわかるんですけど、下から拭きあげてくる風とかで恐怖度が3倍くらいに高まるんですよね。

そんな高所恐怖症の僕はブルーベリーの道をどんどん進みます。登りだから次どんな道が来るのか見えないのもね、いけないんですよ。結構右側の高さが明らかにわかるなって思いながら登っていく僕。だけど登りは前を見ればいいので視線を下にさげなければ怖くない。それにこの道は帰ってこないのでここを乗り切ればいいだけの事。頑張って進みます。すると突然に出てきたのが両端が崖。もちろん真っ逆さまの崖ではないんですよ。急斜面で両端に見えるのは足元位の高さのブルベリーの実。しかも急斜面を転がればかなりの時間は転がっていける高さ。パニック。もうブルーベリーを摘んで楽しむことなんて余裕すらない。ユリ君はもちろんなんに恐怖もなく、のんびり。

これは、このペースでは死んでしまう。と思った僕。かなりの速さで、だけどへっぴり腰で中場4本足の動物が2本足で歩き始めた最初のような前傾姿勢で歩きます。なるべく視界を狭めて足元のごつごつした岩場を見るのみ。そう、道なき道を行く感じなんです。自分で選んでこの石は大丈夫そうだな、そんな感じ。つまり自分の決めた道が間違えば大惨事になることだって。。。そんなことを頭で考えるとますます早くなる足取り。あまりにも僕の歩く姿勢が変なのと、その速さにユリ君も異変を感じたらしく追いかけてきて崖の終わりで強制的にストップ休憩。

確かに息があがってるんですよね僕の。パニックした時のような呼吸。ユリ君が僕を道に座らせて、傍らにユリ君も座ってパニック状態の僕に肩を抱いて、「勇気あったね。頑張ったね。」と慰めてくれます。パニックの時って本当にこれを終わらせたいからか先に先に進もうとするんですよね。だけど、この休憩がよかったみたい。呼吸も落ち着いて、冷静な判断もできるようになってきた僕。

ユリ君からの提案は、「これ以上無理だったら、今の道をたどって帰る?」というもの。

今来た道を変えるのは正直イヤ。けどユリ君が言うにはこれからも登りは続くし、下りの一部が赤であること。今来た道は怖いかもしれないけれど一度通ったから何が来るかわかるのでそれのほうがいいのではとの考え。

「いや。もしかしたらまだ見ぬ下りのほうが怖くないかもしれない。先に進む!!」とまた登り始める僕。

途中山のてっぺんの細い道を崖から吹き上げる風にあおられて歩く場面があったのですが、この時は本当に小道があってしかも、ユリ君が手を握ってくれていたので怖かったけどパニックにならずにすみました。

そして見えた景色が、素敵だった。

右側の山の小道がみえますか?ここをたどってきたんです。そして迎えた難度中の赤の下り。確かに最初は怖かったのですが、短くしかも恐怖心もそれほど感じずに降りれたんです。本当にあの時に引き返さなくてよかった。

途中にはこんな素敵な湖も。ユリ君曰くこれは自然湖ではなくて人口のもので冬に人工雪を作るため池なんだとか。それで浅い部分のそこの石の一つ一つがはっきりと見えるくらいに澄んでいるんですよ。オーストリアの水のクオリティーの高さ!!

天気も良くて、雲も適度に合ってハイキングにはぴったりの気候。それにね、雲が太陽光をまばらに大地に振りまくときは白黒写真がきれいに撮れる時でもあるんですよ。

この日のハイキングは精神的にも強くなったし、ユリ君の愛情も感じられたしで結果的には一番いいものになったのかなって家に帰りついて思いました。

3000m級の高さを誇る山々はうっすりと雪化粧をしていたのも印象的でした。

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