ドイツとイギリスを行き来することが、こちらに移り住んできて多々あるんですよね。そうすると、”たいへんですね。”って言われるのですが、これは時間的なものだと、”はいそうですね。”なのですが、お金の面からだとそこまで思ったほどでもないんですよね。安い時だとロンドンーブレーメン間で往復で3500円との時もあるぐらいの安さなんです。
このことを伝えると、”そんなに安いんですか!!”と日本では大体においてこの反応が返ってきます。確かに違う国に飛ぶ、すなわち海外旅行が往復で3500円。片道何と1750円とは破格ですよね。驚かれても無理はない。ただ、飛行時間は1時間ほどで熊本から東京のほうがはるかに時間がかかるぐらいに、ヨーロッパの国々って隣国がかなり近いんです。2時間もあればロンドンからだったらほとんどのEU圏内に飛べるのではないでしょうか。それぐらい海外に行くというのはヨーロッパの人にとっては身近な事で、”ちょっとランチを食べに行こうか。”といった気楽さで出かける感じなんですよね。
最近はライアンエアー。イージージェットなどのLCC〈格安航空会社〉のおかげで飛行機の運賃もグーンと安くなっているし、ありがたい話です。僕もイギリスに日本から引っ越してきたときには、その安さにびっくりしましたもん。”航空会社ってこんな安い運賃で、生き残れるんだ!”ってね。そのころは全日空と日本航空がほとんどの日本の国内路線を占めていて、早割と言っても熊本ー東京間なんて2万円ほど。往復で4万円、、、。それがヨーロッパで住み始めてから片道1万円の航空チケットなんて、”おー。かなりの大金だね。”というレベルになってしまうから面白いですよね。
そんな日本も最近は変わりましたね。バニラエアーと言うLCCが出てきて、日本国内も海外便も破格の値段で飛んでいる。確かに路線は限られていますが、うまく使えば香港まで片道8800円なんて魅力的じゃないですか!
バニラエアーについて初めて知ったのは実はイギリスのニュースで。”世界に変わった名前の航空会社があるんだよ。特に日本!最近できたのがバニラエアーと、ピーチエアー。いったいなんでこんな名前にしたんだろうね。”と小ばかにされていたんですよね。確かにバニラとピーチをどうして航空会社の名前にしたんだろうっていうのは疑問に残りますよね。ユリ君にも、”関西空港から奄美大島まではバニラエアーっていう飛行機会社で行くからね。”っていったら笑われました。
ともあれ、堺市の観光を終えて1泊ホテルで体を休めた僕たちは昨日ドイツから降り立った関西国際空港に戻って、奄美大島へと旅立ったのでした。
なぜに奄美大島?と思われてれている方もいる事でしょう。いや奄美大島も最近は物凄く観光化されているから、ここを訪れることも珍しいことではないのかもしれませんね。ただ、奄美大島は中継地点で、僕たちの最終目的地はその奄美大島の右上に浮かぶ喜界島なんです。
ロンドンで出会った女性がここの出身者で話を聞いていくうちに、この島がどうしても気になって気になって、島に戻った彼女を頼りに訪れることにしたんですよね。
さて喜界島、そんなに大きな島ではなくて車で島尾一周40分ほどでまわれる大きさ、その中に7000人ほどの人が住んでいます。サトウキビと白ゴマの栽培が盛んで、それを使った黒糖焼酎は本当においしい事。奄美大島では有名な毒蛇のハブがこの島にはいないというのも、蛇嫌いな僕にはうれしい限り。しかもこの島、島のほとんどが隆起したサンゴでできているんです。素敵ですよね。
そんな島に着いたのは午後11時。実は奄美大島からフェリーでやって来たんです。この島に住む友達のクレちゃんが、”’飛行機とフェリーが奄美大島から出てるから好きなほうを。”と言われ値段が安いフェリーに。ただ、調べてみたらフェリーは1日に1便のみ。なので、この時間しかなかったんです。そんな遅い時間でもフェリーの乗船上には数十人の人々がお迎えに。そのフェリー乗り場がなんとも素朴で、いい味を出してるんですよね。そんな人の中にクレちゃんを発見。
タラップを降りて抱擁する僕たち3人。明らかにユリ君への視線が人々から浴びせられます。確かにね、ここに来る外国の人は少ないでしょうからね。目立っちゃいますよね。
夜も遅いのでユリ君を今日の宿へと落として、僕とクレちゃんはドライブに。よるの喜界島は本当に真っ暗闇で、時折に道路でもなさそうな道をひた走るクレちゃんの車。そして真っ暗闇の中を見上げるとそこには無数の大小の大きさをもって光る星が。星ってこんなにもあるんだって驚くほどのその数。少しの間その眺めを見ていたら、生ぬるい風に冷たさを感じて西の空が時折ピカッと光始めました。嵐が来るようです。宿に送ってもらって、シャワーを浴びてベッドに入るとかなりの音を立てて雨が降って、その雨音を聞きながら眠りに落ちました。
そうそう。クレちゃんって面白い名前だなって思った人いませんか?実はこれ、ロンドン時代に僕が彼女をこう呼んでいたんですよね。理由は、実は昔に喜界島が島をクレオパトラ島として売り出そうとしたことがあったらしいんです。なんでも、あの黒船のペリーさんがここに立ち寄った際に、”クレオパトラアイランド”とこの島の事を呼んだらしくて。確かにきれいな名前で、観光誘致にはいい感じ。ところがよく調べてみると、クレオパトラ島と呼ばれたのかこの喜界島ではなく、その近くにあった島だと判明、しかも、喜界島につけられたのはどうやら、”バンガローアイランド。”バンガローは平屋を意味するので、起伏に富まない平らな島という意味ですね。そんな事件を知って、クレオパトラの最初の2文字であるクレから、クレちゃんって呼んでるんです。ちなみに彼女は僕のことをあ阿蘇のカルデラからとってカル君と呼んでくれます。ま、2人以外には誰もこの名前では呼ばないんですけどね。