週末を終えて、新しい週を迎えましたね。今週はあまり気温が上がらない予報が出ているドイツ北西部。最高気温も13度だそうで、朝日が昇ってきて空が出てみると確かに寒い。来週の日曜日には夏時間が終わり、そうなると冬の足音が聞こえてくる、そんな時期。
週末はユリ君と一緒に走りに行ったり、買い物に行ったりと穏やかな時間を過ごして、今はまた一人の時間が持てる平日が。ドイツ語テストにも合格して、何か仕事がないかと2つほど先週末に応募してみたのですが、今のところ何の返事もなし。今はユリ君と僕の写真のドイツ語版ウェブサイトを作成中です。
さて、話を王様の湖に戻しましょう。名前が素敵ですよね、ただ、王様とはあまり関係ない様です。ドイツでは3番目の深さがあり一番深いところだと190m、ドイツ一の美しい湖とよく言われます。確かに、澄んだ美しい水が印象的。しかも水を汚さないのに徹底していて、観光用のボートがあるのですがなんと電気で動いています。しかも最近の事でなくて、100年以上前の1909年には電気ボート以外のボートの走行を禁止したのだとか。さすが、エコ大国ドイツ。
僕たちはもちろん、ハイキング目的でこの地を訪れました。この湖は最後の氷河期で氷河が作り出しや地形なんですよね。そのため、切り立った壁みたいに山が湖を取り囲んでいます。僕たちは朝は早くホテルを後にして始発のボートに乗ることに。朝一だからと言って、人が少ないなんてないんですね、始発から満員。しかも半数以上がアジア人。本当に、アジアの国に来たのかって程のアジア人の多さ。朝日がちょうど山の向こうから顔を出して、朝もやを空へと巻き上げている美しい景色を見ながら湖面を進んでいきます。
このボート、途中で止まってトランペットの演奏会が。実はここは、やまびこが凄くてトランペットの音が響いた後にすぐ呼応するんですよね。朝の光の中でその伸びやかな音の心地よさったらありません。
ボートは3か所に停まります。2番目の丸い帽子を被ったような教会がある降り場が有名ですが、僕たちは最後の降り場まで。2番目のところが有名なのでほとんどの人が下りるのかなと思っていたのですが結構の人が最後まで行くようでした。8時半のボートに乗って最後の降り場についたのは9時半ごろ。なのでゆったりとしたボートの旅が楽しめますよ。
そして最後の降り場で降りたのですが、ハイキングに行くのはすべてヨーロッパ人、アジア人は誰一人ハイキングに行かないんですよね。確かに短い滞在時間や、いろいろな所を効率よく回りたいのもわかるんですが、ハイキングこそ、ここの楽しみ方なんですよね。なので、もし来る人がいたらぜひ1日かけてのハイキングをお勧めします。
さてまた、始まった長いハイキングの旅。最初は湖を右に見ながら少しずつ上がっていて、なんとなく平和的な雰囲気。周りに木も生えていて怖さもそこまでなって余裕をもっていたのですが、、、。途中から結構な高さで、しかも鉄のロープが出てきて。そう、このロープを握ってください、危ないから。ってことですよね。確かに落ちたらそのまま湖までさようなら見たいなところ。このころから平常心はなく、ただひたすら進む僕。1時間ほどすると崖はなくなり開けた土地に。まだまだ上り坂は続きますが、心には余裕があるので歌を歌って前に進みます。なぜかTK音楽が次から次に思い起こされて、僕の青春時代の思い出とともに歩みを進めました。
森が開けて視界が開けてきました。太陽も気持ちがよい程度に降り注いで、最高のハイキング日より。
ユリ君ン何時もハイキングしてるでしょ。もしかしたら、ずっとしゃべっているの?って思われるかもしれませんが、、、。うーん。四六時中は喋っていないですね。僕の場合は、歌を歌っているか、妄想の世界にいることのほうが多いかな。ハイキングのいいところは歩きながら本当にいろいろなことを考れるところだと思うんですよね。何か見た景色や、ものがある思い出や、考えを喚起させそこから自分なりの考えが生まれたり、人生を反省してみたり。時には物凄い、発見を自分自身の中に発見できたりして。あの感覚はいいですよ、経験すると。
お昼ご飯は眺めの良い場所で。360度、山だらけ。しかもまだ9月だというのに近くの山は雪景色。遠くから見ると美しいけれど、毎年何人かの人はこの地域で命を落とすそうです。滑落や、頭上に石が落下してきたりだとか。この数日後にも亡くなった人がでたとネット記事が。ただ、僕たちが進んでいる道は中難度などで死者がでるのはあくまでも上級者向けのコースだそうですが。
そしてユリ君がひとりで出かけて、”絶景が見えるよ!!”と戻ってきます。おとなしくついていくと、確かに絶景が。ただ、恐ろしく高い。
写真とは罪なもので高さって伝わりにくいんですよね。かなりの高さがあり、この木があっても怖いくらい。ただラッキーなことに携帯の電波が入って母にビデオ電話でこの景色を見せることができました。それでも、この高さは伝わらなかったようで、、、。百聞は一見に如かずといいますが、足を運んでこそわかることってありますよね。
写真の難しさってそこなんですよね。高さが伝わらなかったり、その場所に吹く風の冷たさや、匂いは届けられることができない。そこをどのように伝えることができるか、少しでも自分が感じた思いを写真に込めることができるかということも、写真の面白さではあるんですけれど。いつもその、もどかしい思いに悩まされます。
ここからいったん下って、その後また中難度の道に。ここがね、なかなかの恐怖体験でした。急斜面の道に倒木が横たわっていて、道部分のところだけチェーンソーで切り取られていてそこをまたいで渡ったり、急な岩場を鉄のロープだけを頼りに降りたり。心臓が2割ほど縮みました。ただユリ君もよく僕の扱いを心得ていて、「頑張ったね。勇気あったね。」とか、「以前に比べると高さへの免疫力ができてるね。」って褒める、褒める。僕は単純なので、そんな言葉を聞くと素直にうれしくなるんですよね。