国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。とは川端康成の小説、雪国の冒頭文。皆さんもご存知かなと。素敵な始まりですよね。真っ暗なトンネルを抜けたら、見えた世界は真っ白な世界。今までのいた世界から、何か違った世界に飛び込んでしまったような思いにさせるこの弁のすばらしさ。すごいですよね。
雪の日って確かに今まで見ていた景色が非日常として現れますよね。あれは不思議。僕達が眠る時は電動シャッターを閉めるので真っ暗の中で眠るんですよ。そして朝シャッターをあげると朝の景色と対面をするわけなのですが、今日の景色がまさに雪国。
シャッターを開けるとそこは雪国でした。
うわー、雪が夜のうちに積もったんだね。ユリ君、まだ誰の足跡も車の跡もついていないよ。ユリ君が車で出かけるのが一番最初なんだね。運転は大丈夫?ってきいたら。「オーストリアに比べればこれくらいの雪は大丈夫だよ。」そう言われればたしかに。オーストリアでのスキー旅行中、ほとんどが雪が降っていたんですよね。時には横殴りでいたいぐらいの雪とも小さな氷ともつかないものがリフトに乗る僕たちの顔を容赦なく打つことも。けど、殆どはふわりとした雪が降る感じでした。僕たちがオーストリアを後にする日はラッキーなことに雪が前の晩から止んでいて、除雪車も出たのでチェーンを着けずに無事に運転できて、オーストリアから抜け出すことができたのです。なぜこんなに大げさな書き方かと言うとその後かなりの寒波、そして大雪がオーストリアにきて、いくつかの街は孤立状態になり、スキー場も大雪すぎで閉鎖になったとか。本当に運がいい。
僕たちは一度ドイツに戻って一泊。その次の日にはスイスを抜けてフランスへ。フランスはイタリアとの境のアルプス山脈にある町。
ユリ君曰く、ここはだいぶ前からあるスキーリゾートだからびっくりしないでね。と言われたのですが。まずは道すがらびっくり。オーストリアのスキー場に行く道はお土産屋さんがあったり、スーパーがあったり、明るい感じ。ただフランスのこのスキー場は真っ暗な山の中を物凄い蛇行した道を上ったり下りたり。何回も道を間違ったんじゃないのって所にあるんですよね。ついた時には本当にほっとしました。
どうやら今まで僕が訪れたオーストリアのスキー場って出来たのが結構最近で設備がかなり良いのだそう。確かにリフトもほとんどが雪が降った時にするカバー付きだったり、座る所にヒーターがあって快適。それに比べてこのフランスのリフト、殺人マシーン。オーストリアの乗る前にスピードが緩まるリフトにしか乗っていない僕には本当にそうしか見えないんですよ。ゆっくり座り込もうと思ったらもう、間違い。なぜか安全バーみたいのも僕の頭の位置でまず頭をぶつけてびっくりしてると、今度は足元をすくう位の恐ろしいスピードでリフトがアキレス腱の少し上ぐらいを思いっきり当ててくるんですよ。いじわる。心拍数あげながらどうにか乗って、寒さに触れながら山の上に。今度は降りる時の恐怖。だって、スピードが遅くならないんですよ。物凄く焦りながら降りる準備。「よし、降りれた。」僕の知ってるリフトって大体スーッと前に行けば広がったスペースがあって進んでいけるのですが、このリフトは降りたらすぐに左に行かなきゃいけない。僕は残念ながら右側に座っているので一番距離が遠い。降りれて、ほっとしてさ左に左にとゆっくりしてたのがいけなかった。
何か叫ぶ声が聞こえるなと思って声の聞こえた後方をみたら今座っていたリフトが僕の目の前に。うわーーーーーー。しゃがんで倒れ込んだので直撃ヒットは避けられましたが、びっくり。
苦笑いのユリ君。ちゃんと降りなきゃねって言われてしましました。
こんな始まりのフランススキー旅行。